老いる

バナナとプリンが食べたいと云いましたので伯母に会いに行きました。

24歳の母が私を産んだ病院の横を通り過ぎた時、

産後の里帰りを済ませた母が私を連れて家に帰るときは情けなくて涙がポロポロこぼれた、と祖母に生前幾度となく聞かされたことを思い出しました。

その頃の祖母の歳になった私はその病院の曲がり角を曲がりました。

 

伯母は会うたびに祖母にだんだん似てくるのでした。

 

帰りの電車の中で向かいに座った若者はずっとアイフォンを眺めていました。

彼がおじいさんになった姿を今は誰も想像しないだろうなと思いました。

 

車窓から梅雨前線を乗せた青空が四角く見えていました。